まあそうだよね。


ピアノの音が大きく聞こえたからって、何かあるのかと言われたら、私にもそんなことはわからないし。


それが何かなんて、毎回の出口を探すことに比べたら重要性は低いように思える。


「あー……ダメだ！座ってたら眠くてたまんねぇ！俺も外出るわ。多分今日は戻って来ねぇ」


大きく伸びをして大あくび。


溜め息をつくと同時に顔をしかめた海琉が、カバンを持って立ち上がった。


「え、ええ！？そ、それなら私も出るよ！ずっと手の甲をつねってて、もう痛くてたまらないんだもん」


慌ててバッグを取り、海琉に置いていかれないようにと教室を出た。


一人でいても、授業に出ていても、これ以上眠気に勝てる自信がない。


頭が痛くてお腹が気持ち悪い。


生徒玄関で靴を履き替えて、外に出た。


「出るのは良いけどよ。なんで俺に付いて来るんだ？予定なんて何もねぇぞ？」


「そんなの、私にもないもん。どうせ眠いなら、歩いてた方が眠気が覚めるかもしれないし、一人だけ残されるなんて孤独じゃない」


「はぁ？周りにいっぱい人がいるだろうが。どこが孤独なんだよ」


どこがと言われると……同じように「ノロイユメ」を見ている人がいないから。


クラスメイトとは、私のこの苦しさを共有出来ないから孤独なんだよ。