それから、ずっと手の甲をつねり続けて、何とか授業が終わった。


海琉も摩耶も、何とか眠気に耐えたのだろう。


真っ赤に充血した目に、涙が浮かんでいる。


光星はともかく、私達は授業なんて出られたものじゃない。


眠気との戦いでしかなくて、その為なら自分の身体を痛めつけなければ耐えられないくらいだから。


「若葉、お前大丈夫かよ……眠っちまったんだろ?」


「うん。でもね、出口を見付けたから大丈夫だよ」


海琉の問いに答えた瞬間、摩耶の表情が変わって、私に詰め寄ったのだ。


「はぁ!?なんで若葉は出口を見付けたのよ!私は殺されたってのに!そんなの不公平じゃない!私だけ三回も殺されて!なんで、なんで私は出口を見付けられないの!?なんでよ、ねえ!なんで!?」


「お、落ち着け!落ち着けって摩耶!このままじゃダメだ。俺が摩耶を学校から連れ出すから、海琉と若葉はなんとか頑張ってくれ!」


「離してよ!光星なんて眠くもないくせに!私の何がわかるっていうのよ!」


喚き散らす摩耶を強引に引きずって、光星は教室から出て行った。


きっと、このままでは喧嘩になってしまうと判断してくれたのか。


あんな摩耶は、本当に初めてで私は何も言えなかった。