まだ出口を見付けていないのに。


ここでジッとしていても殺されるだけだ。


もうピアノの音も止まっているし、どうにかやり過ごすしかない。


そう思って、チラリと見た右側のドア。


開いたままのドアの中に入り、教室の中を見回す。


そこには白い物はいなくて。


古びたピアノが置いてあるけど……こんなピアノであの音を出せるものかな。


頭の中に響いてるみたいだし、どうもこれではない気がする。


なんて、今はそんな事を考えてる場合じゃない。


どこかに隠れる所はないかなと教室の中を見ていると……窓際にぼんやりとした光?


外が明るいから、それが出口だとは気付かなかった。


でも、初めて出口を見つけることが出来たと、安堵した駆け出した時だった。









「フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」









という笑い声が、音楽室らしきこの教室に飛び込んで来て。


私が出口に触れると同時に……私の腕を掴んだのだ。


どちらが早かったかはわからない。


だけど、私の身体は落下するかのような感覚に襲われて。


白い光が目の前に広がって行った。


ああ、出られたんだと実感したけれど、腕を掴まれている感覚はずっとあった。