いつも見る夢とは違う。


外は明るくて、校舎内もいつもより全然見やすい。


だけど、怖いのはそこじゃない。


「は、早く出口を探さなきゃ……」


きっと、今は私しかこの夢を見ていないと思うから。


こんな昼間に白い物なんて出るのかなと思うほど、夜の校舎とは違っている。


でも、摩耶は殺されたんだよね。


右膝に浮かんだあの印が何よりの証拠だ。


ゆっくりと歩き、教室の入り口から廊下を確認する。


大丈夫……ピアノの音も聞こえているし、近くに白い物はいない。


それにしても、改めて考えてみると、この広い校舎の中にある出口を探さなきゃならないなんて。


どれくらい大きいのか調べたいと思う気もするけど、そう思って移動して、実は隣の部屋に出口があるとかになったら嫌だからなぁ。


「まずは近くからだよね」


そう呟いて自分の行動を確認する。


不思議なんだけど……夢の中でも猛烈に眠い。


気を抜いたら眠ってしまいそうなくらいに。


この中で寝たらどうなるんだろう……。


きっと、白い物に見付かって殺されるだけだろうな。


そう考えると、夢の中でもこの眠気があるのはつらい。