「せ、先生!それを見てしまったら……」


「大丈夫。僕は過去にも見ているからね。それに……もう一度あの悪夢に向かい合わなければ、僕は一生負け犬だから」


ノートを閉じて、光星に渡した先生は、どこか清々しい顔をしていて。


逃げ出したとはいえ、長年悪夢にうなされていたのかなと思ってしまう。


「さて。明日は土曜日だ。キミ達を連れて行きたい場所がある。そうだな……いつもと同じ時間に学校に来てくれるかな?」


先生の提案に、私達はどう返事をすればいいのか。


こんな状況で連れて行きたい所?


「わ、私は大丈夫ですけど」


「うん、私も」


「俺も行けるっすよ。する事ないんで」


口々にそう言うと、先生は微笑みを浮かべた。


「あの……つまり、今はどうする事も出来ないと言うことでしょうか。明日なら、どうにか出来るって事でしょうか」


「……それはわからない。だけど、僕が言えるのは一つだけだよ。何がなんでも、何度悪夢を見ても、絶対に死のうなんて思わないでくれ。さあ、一限目がもうすぐ終わる。二限目はここを使うみたいだから、話は明日にしよう。これ以上、僕が教えられる事はないからね」