「普段は生徒に見えないように、この部分は仮面を付けているんだよ。でもね、そんな物を付けていたって、僕が逃げたという事実は変わらない。そう、何も変わらないんだ」


彼女から逃げた……悪夢から逃げた?


もしかして、先生もこの悪夢を見たことがあるんじゃないの?


私はその言葉が、救われる可能性の一つかもしれないと、回らない頭で考えて。


「先生!悪夢から……逃げる方法があるんですか!?私達と先生が見た悪夢は違うかもしれないですけど……」


「……キミ達は、知ってはならない言葉を知っているかい?もしもそれを知ってしまって、悪夢を見ていると言うなら、僕と同じ悪夢を見ているということだ」


やっぱり……先生は、私達と同じ夢を見て、死なずに済んだ人だった。


それは、あの夢を見てしまったら、最終的には死んでしまうと思っていた私にとっては大きな希望だった。


「は、はい!そうです!先生はどうやって逃げたんですか?」


そう尋ねると、先生は右目を指さした。


「呪いの『印』を剥ぎ取る事だね。僕の場合、不運にも眼球にも『印』が刻まれていたから……抉り出すしか方法がなかった。それが悪夢から逃げる方法だよ。その後は絶対に、知ってはならない言葉を『見ない』事だね」