「は、早瀬月菜さんが亡くなりました」
ホームルームの時間、担任の浜村先生が落ち着かない様子で私達にそう言った。
なぜ亡くなったのか、それを教えてはもらえなかったけれど、クラスのほとんどの人が、月菜の様子がおかしかったことは気付いていた。
ここ最近、何やらブツブツと呟きながら、ノートに向かって何かを書きなぐっている姿を見ていたから。
誰が話し掛けても一切反応せずに。
私は月菜と仲が良かった。
だから、そんな月菜をどうにかしたかったけれど、その前に月菜は死んでしまった。
悲しくて、やり切れなくて、私は机に伏して泣くことしかできなかった。
ただ、ひとつ思う事は……。
ノートに何かを書いている時の月菜は、何か鬼気迫る表情をしていたというか。
ひとりで何かを抱え込んでいるんだろうなということだけは、何となく理解していた。
その姿は少し怖くて、クラスの皆も同じ思いだったのか、誰も話し掛けようなんて思わなくなっていったんだ。
そんな中で、月菜が亡くなったなんて話を聞いたから、皆、色々な噂をし始めるようになった。
これが……ただの始まりだったなんて何も知らずに。