私の前に現れたのは、リュウ様だった。
驚いた……ってきり敵かと。
私は、慌てて短剣をしまうと頭を下げた。

「も、申し訳ありませんでした」

「いや、こちらこそ。急に近付いて悪かったね。
ルチアと話が終わって帰ろうとしたら
君の泣いている姿が見えてね。
つい、気になって近付いてしまったんだ」

「そうだったんですか。
お気遣いありがとうございます。私は、大丈夫です」

本当は、まだショックだけど……。
笑顔で言うとリュウ様は、クスクスと笑っていた。
わ、笑われた!?

「俺の前では、無理しなくてもいいよ。
ルチアの無神経さは、今始まった事じゃないし。
それに……本当は、君の事を信頼をしているんだよ」

私の事を……?

「リュウ様。それは、どういう事でしょうか?」

「ルチアは、警戒心が強いから
信頼をしている者しか側近にさせない。それに
君の事を……あんな風に言ったけど
本当は、君の能力を買っているってさ。
君のずば抜けた才能を信頼しているみたいだね。
幼なじみの俺が聞いたんだから間違いないよ」

リュウ様は、そう言うとニコッと笑った。
国王陛下が……。
私は、それを聞いて嬉しくなった。

「教えて下さりありがとうございます」

私は、あまりにも嬉しくてリュウ様に
飛びっきりの笑顔を見せた。
するとリュウ様は、少し驚いた表情をしたあと
ククッと笑った。何が可笑しいのだろうか?
私が首を傾げるとリュウ様は、

「なるほどね。ルチアが君をやたらに
気にする理由が分かったよ。
これは、お気に入りとしてそばに置きたくなる訳だ!」

納得をしたように呟いた。
さっきからリュウ様の言っている意味が
私には、分からなかった。