莎奈匯は振り絞るような細い声で僕に問いかける。彼女の本音。偽りのない、本当の姿がここにはあった。





「わたし、もうダメなんだって……」





 莎奈匯の言葉に、僕はピクリと反応する。嫌でも分かってしまう、言葉の意味。





「……え?」





「わたしね、もうすぐ死んじゃうんだって」





 返す言葉が見つからなかった。

 大声を上げて泣きじゃくる莎奈匯。僕は、そんな彼女を抱き締めてやることしかできなかった。

 泣き疲れ、眠ってしまった莎奈匯をベッドに寝かせ、僕は声を殺して泣いた。





「……っ」





 自分と似た境遇の人間に突きつけられた現実。告げられたタイムリミット。全てが将来僕が迎えるであろう姿に重なり、例えようのない恐怖を初めて味わうことになった。