それから、しばらくの沈黙が続いた。数分後、体を起こしながら莎奈匯が口を開いた。
「……それだけ?」
「え?」
莎奈匯の表情は明らかに不機嫌であると告げている。
「わたし、告白したじゃん。返事してよ」
莎奈匯の目は真剣だった。
「え、今までのって全部、本気だったの?」
「当たり前じゃん!」
我ながら酷いことをしたと思う。莎奈匯が怒るのも当然だ。
殴られるのも覚悟して、僕は焦りを誤魔化すために髪の毛をくしゃくしゃと掻き乱す。
その様子に莎奈匯はクスリと笑った。
「ま、返事は分かってるけどね!蓮の好きになった人だもん。きっと素敵な人なんだろうね」
「ごめんな」
僕の言葉に莎奈匯はまたケラケラと笑い出す。
「もー謝んないでよ! 余計に惨めじゃない」