寂しそうに笑う智淮さん。その笑顔に僕の胸が締めつけられる。
「会いたいか?」
「え?」
「那音に」
僕は智淮さんに伝えたかった。好きな気持ちを無理に抑える必要なんてない。好きならば、素直に自分の気持ちに従えばいいだけだ。うまくいかないのが人生。時には逆らうことも大切なのだと。
「会いたい!」
泣きながら、智淮さんは声を振り絞った。
智淮さんの言葉に僕は満足そうに頷いた。
「それなら、大丈夫だ。言っただろ? 僕に任せてって」
「うん」
「行くよ」
智淮さんの手を引いて、僕は待たせていたタクシーに乗り込んだ。