*   *   *







 実力テストを無事に終え、僕は海愛と会っていた。彼女の胸元では、誕生日に贈ったリングが日の光に照らされ、輝いていた。





「指輪、ネックレスにしたの?」





「うん! 大切なものだし……指輪だと、先生に没収されちゃうの」





「ふーん」





 海愛は愛しそうに胸元の指輪を握り締め、微笑んだ。





「蓮のは?」





 海愛は指輪のない僕の指を見て首を傾げた。





「あー……僕のは、ここ」





 僕は携帯電話を取り出し、海愛に見せる。

 シンプルな携帯電話に一つだけ揺れるラバーストラップ。中央に光るのが僕の指輪。

 毎日携帯しているものにつけておけば、なくなることもないだろう。校則の面から学校内で指輪をつけることはできない。成績が絶対条件の僕は、生活指導に捕まるわけにはいかないのだ。





「お互い大切にしようね!」





「うん」





 海愛の笑顔に僕は微笑み返した。