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実力テストを無事に終え、僕は海愛と会っていた。彼女の胸元では、誕生日に贈ったリングが日の光に照らされ、輝いていた。
「指輪、ネックレスにしたの?」
「うん! 大切なものだし……指輪だと、先生に没収されちゃうの」
「ふーん」
海愛は愛しそうに胸元の指輪を握り締め、微笑んだ。
「蓮のは?」
海愛は指輪のない僕の指を見て首を傾げた。
「あー……僕のは、ここ」
僕は携帯電話を取り出し、海愛に見せる。
シンプルな携帯電話に一つだけ揺れるラバーストラップ。中央に光るのが僕の指輪。
毎日携帯しているものにつけておけば、なくなることもないだろう。校則の面から学校内で指輪をつけることはできない。成績が絶対条件の僕は、生活指導に捕まるわけにはいかないのだ。
「お互い大切にしようね!」
「うん」
海愛の笑顔に僕は微笑み返した。