僕は夢の中、最初の余命宣告を生き抜いた十歳の自分と対峙していた。
――――苦しいよ、痛いよ。
目の前の子供はひたすら泣いている。
「君は、誰?」
「ボクは、僕」
目の前の子供は痛みにもがき苦しんでいた。
「大丈夫か?」
苦しそうな表情を浮かべる十歳の自分。
心配になり手を差し伸べると、少年は僕の手を振り払った。
「なっ……」
青ざめたまま、口角を吊り上げる少年。 背筋に悪寒が走る。
「キミは、これから彼女にボクと同じことをする」
彼女とは、鈴葉のことだろうか。
少年は、僕が彼女の手を振り払うだろうと言う。
そんなこと、あるわけがない。
僕の中に、沸々と怒りが込み上げてくる。
「ふざけるな!」
僕は怒りに身を任せ、自分自身に手をあげていた。
快音が響き渡る。殴られた頬を擦りながら、少年は痛がる素振りも見せず、気味悪くニヤリと笑った。