* * *
継続的に、間隔を空けずにやってくる痛み。
「痛っ……はぁ、はぁっ」
発作というものは、本当に厄介だ。時間も、体調も、全てのことを無視してある日突然襲われる。個人差はあるだろうが、僕の発作はいつも突発的だった。
まず、胸の辺りに違和感が生しょうじる。その後徐々に違和感が確かな痛みに変わる。痛みの度合いもその時によって微妙に違うが、大抵の場合は針でチクチクと突つつかれているような痛みで終わる。痛みが心臓を抉えぐられるような、握り潰されるようなものになった時は、本当に重症だ。すぐにでも救急車を呼ばなければ、命に関わる。今回の発作は前者だ。
少しでも危ないと感じたら、すぐに救急車を呼ぶこと。
それは僕が定期健診に訪れるたびに医師から言われる決まり文句だった。
「うっ……」
長時間の発作が徐々に落ち着いてくる頃には大量の汗、頭痛、そして吐き気が僕を襲っていた。
全ての症状が、タイムリミットが近づいているという変えようのない事実を示している。
苦しい。心と体が。
僕にとっての「生きる」とは、ツラく苦しいだけの虚しい行為なのだ。
誰にもこの苦しみを理解してもらえないまま、ある日突然この世から姿を消す。これほど寂しいことはない。
考え出すと途端に恐ろしくなり、僕は流れる汗を気にすることもなく、頭を抱えた。
許されるなら、大声を上げて泣き叫びたい。
怖いと訴え、死にたくないと叫びたい。
仮に今ここで涙を流せば、堪えているものが一気に崩れ去ってしまいそうだった。
発作が治まった頃、薄暗くなった窓の外をぼんやり眺めていると、ベッドの上に放置した携帯電話が鳴った。
その音でハッと我に返った僕は、おもむろに携帯電話に手を伸ばす。メールの着信を見ると、そこには先日アドレスを交換したばかりの鈴葉の名前が表示されていた。