それは、賭けだった。優が望むなら、私は自分の感情に囚われず決断できる。蓮が生前望んだように、私は過去に囚われず、前に進む。それがきっと、進むべき正しい道なのだから。
私の質問に、優は即答した。
「うん!」
「嬉しいの?」
「うん、嬉しいよ! おじさんはいつも優と遊んでくれるし、ママにも優しいし、おじさん大好きだよ! ママは?」
満面の笑みを浮かべる息子に、私は同じように笑ってみせた。
「うん……ママも」
私は噛み締めるように言いながら、かつて蓮にもらった胸に揺れるネックレスを握り締めた。
蓮の死から六年が経過した現在も、私は彼からもらった思い出の品を外せないままでいた。