蓮の死から一年が経過した頃、息子の優はすくすくと成長し、私を「ママ」と呼べるようになった。私は息子の成長を心の支えに毎日を送っていた。

 蓮の死後、私は完全に塞ぎ込んでしまい、周りにも沢山迷惑をかけた。蓮は、生前から私がこうなってしまうことを酷く心配していた。

 人は愛する人間の死に直面して初めて本当に失う意味を知る。



 私の心は限界だった。



 そんな私を支えてくれたのが神谷くん。私が壊れることなく今まで生活してこれたのは彼の支えがあってこそだった。

 神谷くんは仕事の合間に時々遊びに来る。優は初めこそ見知らぬ男の人に戸惑っていたが、今では喜んでかけ寄るようになった。

「迷惑をかけて申しわけない」と頭を下げる私に神谷くんは困惑するばかりだった。