「……蓮?」





「ごめん……海愛。謝るから、だから嫌いだなんて言うなよ……」





 僕は海愛に拒絶されることを恐れていた。



 他の人間にはどう思われてもいい。だけど、海愛は違うんだ。どんなに拒絶されても、どんなに嫌われても、君だけは……嫌なんだ。

 君は僕にとって世界でたった一人の大切な女の子だから。





「蓮……」





 母になり、海愛はまた美しくなった。



 なあ、海愛。僕、昔聞いたことがあるだろ。僕が死んだ後どうするんだって。なにをしてもいい。ただ、優と一緒に海愛の思う人生を歩んでほしい。





「寂しいの。大好きだから、蓮がいなくなっちゃうって、信じたくない」





「海愛……」





「ごめんね」





「……そうだ、海愛。写真撮ろっか」





「え?」





 僕はデジタルカメラを手に取る。





「はい、撮るよ」





「ちょっと、蓮……もう」





 そうして僕は海愛との思い出をデータに残した。これが、皮肉にも海愛と二人で撮った初めての写真になった。