『言ったろう、もうお義父さんでいいと。確かに順番は違うが、私は君に娘を預けたんだ。それに、お互いもういい大人だ。頭ごなしに否定するよりは、祝福してあげたい。老い先短い同士、そう思わないかい?』

『ありがとうございます。お義父さん、本当に……ありがとうございます』





 そうして僕は、海愛の家族に認めてもらうことができた。

 その後、僕はまだお腹が目立たないうちに、と体調の安定した海愛を連れ、形だけでも、と二人で写真を撮ることにした。純白のウエディングドレスに身を包んだ海愛は、本当に嬉しそうに笑っていた。できあがった写真を持って、僕は海愛と一緒に母の元へ出向いた。

 写真を見た僕の母は、泣き出し、海愛を優しく抱き締めた。





「海愛ちゃん、ありがとう……ありがとう」





「えっと……あの」





「あなたは私の自慢の娘よ……無理はしないで、元気な赤ちゃんを生んでね」





「お義母さん……」





 これで、よかったんだ。



 僕は母の笑顔に満足そうに頷いた。





「蓮の母親になれて……本当に幸せよ」





 聞こえた母の声に、僕の瞳から涙があふれ出した。

 今までの僕は母に負い目を感じながら生きてきた。僕は生まれてこなければよかったのではないか。僕がいなければ、母は幸せになれたのかもしれないのに。そう思いながら生きてきた僕にとって、母の一言はまさに「救済」の言葉だった。