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次の日曜、僕と海愛は那音の住むアパートに顔を見せた。近所だというのに、訪れたことは一度もなかった。当然、部屋に足を踏み入れるのも初めて。
インターフォンを押して数秒後、中から髪を黒く染めた那音が顔を出した。
「よ! 二人とも、久しぶり!」
優しい笑顔を僕らに向ける那音。茶色かった髪を染め、ピアスも外している。変わった那音の容姿に僕は驚いた。
「那音……お前」
那音は照れ臭そうに笑った。
「けじめってやつかな。オレも父親になるんだ! って思ったら、しっかりしなくちゃって気持ちになって」
幸せそうな顔をしていた。緩みきった表情を浮かべる那音の髪を僕はグシャグシャに乱した。
「うわ! ちょ、蓮」
「顏が緩みっぱなし」
仏頂面の僕を見て、那音は笑った。
「だって、幸せだもん」
「うざ」
那音の後ろに続いて部屋の中に入った。扉を開けた先にはソファに座る智淮さんがいた。
ほんの少しだけふっくらしたように見える智淮さんは、僕らに気がつくと満面の笑みを浮かべた。