「娘に幸せになってほしい気持ちは変わらないよ。でもね、それは娘が決めた人でなければ意味がないんだと分かった」
「……」
「君が長く生きられないことは分かっている。だからこそ、君の精一杯で最期まで娘を愛してやってくれないか」
「ありがとうございます……お義父さん」
まさか、公衆の面前で泣くとは夢にも思わなかった。
僕はなにを迷っていたのだろう。神谷の言葉に踊らされ、僕は海愛を、大切な彼女を傷つけてしまった。なにがあっても海愛を愛し、守ると誓ったのに。
「泣くんじゃない……男だろう」
「すみません……うう」
お義父さんの言葉に僕は謝りながら涙を拭いた。
しばらく涙は止まらなかった。