* * *
数日後、僕は神谷に呼び出された。指定された場所には煙草をくわえながら携帯を操作する神谷の姿があった。
神谷は僕に気がつくと、口角を吊り上げて笑った。
「よう」
「なんの用だ」
眉間に皺を寄せ、露骨に嫌な表情を浮かべる僕に、神谷は煙草の煙を吐き出した後、微笑んだ。
「んー、途中経過の報告?」
「は?」
首を傾げる僕。その時、神谷の携帯が鳴った。
「ああ、ちょうどいいや。櫻井、今メールが来た相手は誰だと思う?」
「相手が誰かなんて、僕が知るかよ」
意図が掴めないまま首を傾げると、神谷は勝ち誇ったように言った。
「それが海愛ちゃんだって言ったら?」
神谷の言葉に、僕は凍りつく。
「え?」
体が強張る。どっと冷や汗が背中を伝う。