「は? お前も男なら、その怖さ知ってんだろ。出会い求めてる男の考えなんて簡単に分かるだろうが。そんなところに大事な彼女を送り出すかね……普通だったら行かせないね」
言い返す言葉が見つからない。今になって後悔しても遅いのだ。
僕は後悔を掻き消すようにのめないはずの酒を水のように流し込む。
「海愛は、僕以外に惚れたりしねーよ……」
僕の言葉に大志は口にしていた生ビールを吹き出しそうになり、咳き込む。
「ははっ! 今度は惚気か」
「海愛は可愛いから、僕だけだから……大丈夫だと思ったんだよ」
それから数時間後、僕と大志は完全に酔いが回った状態で店を出た。
「もう無理……気持ち悪い」
「お前はのみ過ぎ! 僕も頭が痛い」
酔い潰れた大志を肩に担ぎながら、僕は大きな溜息をついた。
「ほら、行くぞ。ちゃんと歩けって!」
「うん……」
肩に体重がのしかかり、大志を見ると、彼は穏やかな表情で眠っていた。