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「櫻井! 今日、のみに行かねえ?」





 海愛が神谷陸と食事に行く日、僕は大学で知り合った友人からのみに誘われていた。

 彼の名前は片岡かたおか大志たいし。小中高とサッカーに青春を捧げた男がなぜ医者を目指しているのかは不明だが、大志の那音に似ている雰囲気に自然と仲良くなっていった。

 酒はあまり強い方ではないが、この日ばかりは誘いを受けることにした。





「いいよ、行こう」





「マジで? 櫻井とのみとか、初めてじゃね?」





 大志は大袈裟に喜びながら慌てて教科書を鞄に詰め込んだ。

 海愛が他の男と食事に行くことを承諾したが、内心はヒヤヒヤしていた。



 僕は溜息をつき、足取りの軽い大志の後をついて行った。