月日は流れ、僕は大学生活を送っていた。
人を救いたいと夢を語った海愛は、両親と話し合った末、大学に進学することを決めた。
僕と共に過ごし、母親の職場で苦しむ患者たちの話し相手をしてきた海愛。夢を叶えるため、同じ大学で、共に夢を追いかけようと決めた。
海愛は現在、僕と同じ大学で学んでいる。学部さえ違うものの、僕らはいつも互いを思いやり、密かに注目を浴びる存在となっていた。
友人と別れたところを見かけ、僕は海愛に声をかけた。
「今日の講義はもう終わり?」
僕に気がついた海愛は、満面の笑みで首を縦に振った。
「うん! 蓮は?」
小脇に分厚い紙の束を抱えながら、僕は学舎を指差した。
「このレポート提出して、今日は終わり。一緒に帰ろうか。ちょっと待ってて」
「分かった」
最後に倒れて以来、大きな発作もなく、僕は穏やかな毎日を過ごしていた。