海愛は突然泣き出した僕に驚いていた。

 僕は海愛を失うという恐怖を初めて実感した。寂しさを知った。海愛が日々抱えているであろう不安を身を持って体感した。夢を通じて、僕は初めて知ったのだ。

 愛しい人に触れられるとは、なんと幸せなことだろう。





「蓮、大丈……」





 海愛の言葉を遮り、僕は奪うように唇を重ねた。

 触れられる。まだ、こうして触れられるんだ。海愛はここにいる。





「蓮、大丈夫……私はここにいるよ」





 落ち着きを取り戻した僕は、微笑む海愛に視線を向ける。





「海愛が……いなくなったかと思ったんだ」





 もう一度存在を確かめるように抱き締めると、海愛は僕の耳元で笑った。





「いなくならないよ。私はずっと蓮の側にいるから」





 海愛の言葉によって安心感が全身に広がり、同時に切なさが体をかけ巡った。