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海愛と出会ったあの日から、僕の人生は大きく変わった。幸せを感じるたび、欲張りになっていく心。自分勝手な思考が海愛を追い詰める。苦しめるくらいなら、と何度も海愛の手を離そうとした弱虫な僕。海愛は何度も手を繋ぎ直してくれた。
「ねぇ、蓮」
「ん?」
名前を呼ばれ、僕は声の方に振り返る。
そこには真剣な表情の海愛がいた。
「私と約束してくれる?」
「もちろん」
僕は即答した。
海愛は僕の服の袖を掴み、深呼吸をする。
「まずは、なんでも話し合おう」
「うん」
「あとはね」
海愛は言った。
「最期は、笑ってサヨナラしよう」
海愛の言葉に僕は驚いた。そしてすぐに首を大きく縦に振った。
「約束するよ」
海愛が望むなら、僕はなんだってする。