『最期まで、蓮くんの隣にいさせてほしい』
海愛の告白。寂しさに押し潰されそうだった僕は、目の前に差し出された一筋の光に手を伸ばした。
それは不確かな未来。
海愛は僕が死んだ後、どうなってしまうのだろう。たった一人、この世に残された君は、まっすぐに新しい人生を歩めるだろうか。
僕は、海愛と今後について話し合うことにした。
「海愛、話があるんだ」
「なに?」
海愛は真剣な顏の僕に首を傾げた。
「僕たちの将来のこと、一度ちゃんと話そう」
現実からは逃げられない。とっくに気がついていたはずなのに。日に日に増える薬。発作。残された時間は確実に少なくなっている。
今まで現実から目を背け続けてきた。でも、ようやく気がついたんだ。海愛を守ると決めたのだから、自分と向き合い、海愛と向き合わなければいけないことに。
「うん」
僕の真剣な表情に、海愛は首を縦に振った。