*   *   *







 日曜。まだ七時を過ぎたばかりの頃、家のインターフォンが鳴った。

 ビクリと反射的に起き上れば、聞き慣れた声がした。母は朝番の仕事のため、この時間にはもういない。

 玄関の扉を開けると、予想通りの人物がニコニコしながら立っていた。





「今何時だと思ってる……那音」





「いやー、なんか待ち遠しくってさ! 話したいこともあるし。悪い、寝起きだった?」





 よれたTシャツにジャージ姿の僕に、那音は苦笑いを浮かべた。





「当たり前だろ、まだ七時だぞ」





「ごめんって!」





「うるさい。近所迷惑」





「ひでーなぁ」





 ケラケラと笑う那音の姿に思わず溜息が出た。





「……上がれば?」





「お邪魔しまーす!」





 僕の合意を得た途端、那音の顏に再び満面の笑みが戻った。

 考えてみれば、友人を家に招き入れるのは初めてだ。そう考えると案外那音の言う親友らしいことをしてしまっているのかもしれない。

 ガチャリと玄関に鍵をかけ、そのまま自室に那音を招き入れる。お互い一段落した頃、時計の針は七時三十分を示していた。





「で、話ってなに?」





 僕の言葉に那音はのんでいたジュースを静かに置き、急に正座をした。

 突然の那音の所作に僕は首を傾げる。ストローを甘噛みしながら僕は那音に視線を向けた。





「蓮」





「んー?」





「彼女、つくる気ないか」