*   *   *





 風呂を終えた僕は自室にケーキを持ち込み、箱から中身を取り出す。板チョコを海愛の皿に乗せると、海愛は嬉しそうに微笑んだ。





「じゃ、取り分けるね」





 海愛はケーキを器用に取り分けていく。所作に見とれていると、顔を上げた海愛と目が合った。





「ん?」





「あ、いや、なんでもない」





「ふーん……ほら、食べよっか」





 僕の前に綺麗に切り分けられたケーキが差し出される。

 美味しそうにケーキを頬張る海愛の姿に思わず頬が緩んだ。





「お前、幸せそうに食べるよな」





「甘いもの大好きだもん!」





「あーほら、クリームついてるぞ」





 海愛の頬についた生クリームを指の腹で拭うと、海愛は恥ずかしそうに下を向いた。

 ケーキを食べ終え、のんびりとした時間を過ごしていると、海愛は思い出したように鞄を漁り出した。





「あ、よかった、あった」





 その行動に首を傾げていると、海愛は綺麗に包装された小さな箱を鞄から取り出した。





「なにそれ?」





「クリスマスプレゼント!」