「お母さん、素敵な人だね」





「あんなに笑ってる母さん、久しぶりに見たよ」





「そうなの?」





「いつも、僕が心配かけてばかりだから」





「……ごめん」





 暗くなってしまった会話に海愛は申しわけなさそうに肩をすくめる。僕は海愛の頭を撫でた。





「ひゃっ!」





「辛気くさい顏するなよ。それだけお前の存在が僕の家族にとって大切なんだよ」





 海愛は嬉しそうに口角を緩めた。





「うん!」





「洗い物任せてごめんな」





「気にしないで! 泊めてもらうんだから、これくらいはさせて」





「ありがとう、助かる」





「えへへ」





「僕、先に風呂入るから。お前も風呂あがったら一緒にケーキ食べような」





「う、うん」





 僕はそう言って浴室へと姿を消した。

 海愛は黙々と食器洗いに専念した。