華やかに盛りつけられた料理を口にしながら、母は僕に疑問の声を投げかける。
「これ、あんたが盛ったの?」
母の質問に僕は大きな溜息をついた。
「逆に聞くけど、息子がこんな盛りつけできると思うの? 海愛だよ」
「そうよねー本当、女の子がいると家の中が華やかでいいわね」
今日は母の機嫌がいい。母の笑顔に、僕も心の中で安心していた。
「海愛ちゃん」
「は、はい!」
突然名前を呼ばれ、海愛は慌てて口の中の料理をのみ込んだ。
「蓮から聞いてるかもしれないけど、この後ちょっと出かけてくるから、ごめんね」
母は二十時を過ぎた壁時計を指差す。
「えっと……」
「今日は泊まって行くのよね? 狭い家だけど、ゆっくりしていってね」
「え、泊まる?」
母の言葉に、海愛は目を丸くした。