夢を見た。白黒の世界。ノイズが視界の邪魔をする。
僕はそんな空間に立ち尽くしていた。
「やめろ……やめてくれ」
僕は身体をガタガタと震わせ、泣いていた。瞳孔が開き、視線が定まらない。様々な幻覚が襲っていた。
「蓮、ありがとう」
「蓮! 大好き」
莎奈匯、海愛。その他、関わりを持った沢山の人の声が、顔が、ノイズ混じりに僕の視界を通り過ぎていく。
擦り切れたレコードのような視界は、沢山の思い出を蘇よみがえらせ、消えていく。みんな、消えていく。
「やだ……いやだ」
行かないで。僕を置いて行かないでくれよ。怖い。一人は、もう嫌なんだ。
瞳から涙があふれ出す。ずっと堪えていた感情が、濁流となって僕を襲った。
「嫌だあああああああああっ!」
夢の中の僕は頭を抱え、その場に蹲うずくまる。どうすることもできないまま、僕は叫び続けた。
どうしてこんな悪夢を見なくてはならないのだろう。勘弁してくれ。
「助けて……」
僕の意識はそこで途絶えた。