「蓮から、聞いてたから」





 ニコリと笑う莎奈匯に、海愛も同じく微笑みを返す。





「私も、彼から聞いてました」





「蓮、すごく美人な子だね」





 莎奈匯はそう言って笑った。





「莎奈匯……」





「ねぇ蓮、わたしね、死んじゃうんだって」





 莎奈匯は笑いながら言った。

 無機質な心電図の音が、病室内の時を刻む。





「…………」





 返す言葉が見つからず、僕は黙り込んでしまう。





「蓮、好きだよ、大好き」





 莎奈匯の瞳から、涙が伝う。掠れる声に海愛は堪えきれなくなったのか、両手で口を覆い、涙を堪えていた。