* * *
「海愛!」
「蓮!」
数分後、僕と海愛は病院のロビーで会うことができた。早朝ということもあり、救急用の玄関から中に入る。
「あの、中津莎奈匯さんが入院しているのはどちらですか!」
看護師に事情を説明し、案内してもらう。
「中津様は救急病棟にいらっしゃいます。ここからまっすぐ左に歩いていくと、救急病棟です」
「ありがとうございます」
看護師の女性に頭を下げ、僕と海愛は救急病棟に急いだ。
■中津莎奈匯様■
重い扉を開け、薄いカーテンを潜ると、救急病棟と書かれた標識が目についた。そのすぐ近くの病室に、莎奈匯の名札があった。莎奈匯がいる個室からは、正確な心電図の音が聞こえていた。
僕と海愛はアルコール消毒を済ませ、病室を覗き込む。
開け放たれた病室の奥にいた女性が僕と海愛に気づき、ペコリと頭を下げた。