「もうそんな時間か…」

夏々子は呟くと、タブレットをテーブルのうえに置いた。

代わりに震えているスマートフォンを手にとった。

「おはよう」

「はい、おはよう…じゃないだろ」

のんびりとした夏々子のあいさつに、電話越しから息を吐く音が聞こえた。

「今日は11月に発売されるアルバムのレコーディングと音楽雑誌の取材の予定だっただろ?」

「あー、そう言えばそうだったね」

相も変わらずなマイペースな夏々子に、
「家か?」

電話越しの声が言った。