「ねえ、ソウちゃん」

夏々子の声に、宗助は我に返った。

たった今、自分は遠い昔の出来事を振り返っていたことに気づいた。

「あたしの誕生日なんだけど…」

そう言った夏々子に、
「何か欲しい物があるのか?」

宗助は聞いた。

そう言えば、彼女から誕生日プレゼントのリクエストをされるのがこれが初めてだと言うことに気づいた。

宗助は夏々子が誕生日を迎えるたびに、いろいろなものをプレゼントした。

ハンカチにワンピース、髪ゴムにリボン…と、たくさんのものを彼女にプレゼントをした。

「誕生日プレゼントは、ひまわりの花束がいいの」

夏々子が言った。