ロンドンの街を歩きながら、夏々子が澄んだ声で口ずさんだ。

カーディガンズの名曲「Carnival」だ。

彼女が子供の頃に教えた英語は今でも健在だ。

流暢に歌を口ずさむ夏々子の姿に、宗助は目を細めた。

(成長したな)

宗助は心の中で呟いた。

雪の中に埋もれていた小さな少女は、今は美しい大人の女性へと成長を遂げた。

「ソウちゃん、アイスクリーム」

夏々子がアイスクリーム屋の看板を指差した。

「食べたいのか?」

そう聞いた宗助に、夏々子は首を縦に振ってうなずいた。

「じゃあ、そうしようか」

宗助は夏々子と一緒にアイスクリーム屋に歩み寄った。