翌日の天気は、雨だった。

雨だったにも関わらず、東サダオの通夜の参列者はたくさんいた。

(ここにいる参列者は表向きの顔しか知らないんだろうな)

宗助は心の中で呟いた後、息を吐いた。

「――あれ?」

視界に入った人物に、宗助は思わず声をあげた。

その人物は、肩まである黒髪のロングヘアが特徴的な女性だった。

黒い服を着ている参列者たちとは違い、彼女は白いワンピースを着ていた。

(おかしな人だなあ)

宗助は口で呟く代わりに、心の中で呟いた。

参列者も白いワンピース姿の彼女を不審そうに見ていた。

宗助は彼女に歩み寄った。

「あの、すみません…」

宗助に声をかけられた彼女は驚いたような顔をすると、その場から逃げ去った。