「――何を考えているんだよ、あの人は…」

カセットプレイヤーを胸に抱きしめた後、桑田は涙を流した。

彼――宗助が作った世界はクールだけど、どこか繊細で、温かかった。

この世界を宗助と一緒に作って行くことが自分のこれからの使命なのだと、桑田は思った。

そして…彼と一緒に作ったこの世界をいろいろな人たちに伝えることが自分の役目なのだと、同時に思った。


翌日はバイトが休みだった。

なけなしの給料をはたいて買った花束を持って、桑田は宗助が入院している病院へと訪れた。

病室へと向かおうとした時、そこから誰かが出てきた。

ミルクティー色の髪をした背の高い男と黒髪の小さな女の子だった。

(子供がいたのか?)

桑田はそう思いながら、2人を影から見つめた。