家に帰ると、
「あーあ、災難だった…」

電気をつけると、畳のうえに腰を下ろした。

ちゃぶ台のうえに視線を向けると、1週間前に宗助からもらったデモテープが入った封筒があった。

「少しくらいだったら聞いてやるか」

封筒からカセットテープを取り出すと、カセットプレイヤーに入れた。

そこから再生された音楽は、
「――ハハッ…あいつ、ドラムができねーのかよ」

ギターとベースと美しい歌声が奏でる音楽に、桑田は呟いた。

ヴォーカルは女――と言うよりも、女の子と言った方が正しいかも知れない――なのだろうと、桑田は思った。

「――歌詞と曲はいいとして、ドラムがねーとこんなにも違うんだな…」

そう呟いた瞬間、桑田の目から涙がこぼれ落ちた。