宗助は夏々子を見つめて、夏々子も宗助を見つめた。

2人の間を沈黙が包み込んだ。

先に口を開いたのは、
「大丈夫」

宗助の方だった。

その言葉は、夏々子の胸に静かに落ちた。

どうしてなのかはよくわからないけど、宗助の口から“大丈夫”と言う言葉を聞くと本当にそうだと思えるのだ。

「今は、目先のことだけを考えればいい。

なっちゃんが心配することなんて、何にもないから」

「――ソウちゃん…」

呟くように自分の名前を呼んだ夏々子に、
「いい子だ」

宗助は返事をした。