『バンドのデモテープです

よろしかったら、聞いてみてください

玉井宗助』

「またあいつかよ」

桑田はチッと舌打ちをした後、封筒の中にカセットテープと手紙を入れ直した。

「誰が聞くかっつーの」

そう毒づいた後、封筒をちゃぶ台のうえに放り投げた。

明日から1週間は県外の仕事だ。

山奥で泊まり込みの作業だから、しばらくは自宅へ帰ることができない。

さすがに1週間も家にいなかったら、彼もあきらめることだろう。

明日のために体力を温存しようと、桑田は目を閉じた。