母親はいわゆる“教育ママ”と言うタイプで、とても厳しい性格だった。

特に躾には厳しくて、世界で1番大嫌いなマヨネーズを残すと、よく怒られたものである。

母親が勧められた習い事も、瑛太は幼い頃からやっていた。

習字にサッカー、ピアノ、水泳、体操教室、学習塾…と、あげてもキリがないくらいである。

瑛太はと言うと、それが当たり前だとでも言うように日々の習い事をこなしていた。

そのおかげなのかどうかはわからないが、学校での成績は常に上から数えた方が早かった。

息子に甘い父親と躾に厳しくも惜しみない愛情を注ぐ母親の元で、瑛太は大切に育てられた。

それまではギタリストに“なるかも知れない”と言う漠然とした夢を持っていたが、それが“絶対”へと変化して行ったのは瑛太が小学生の高学年の時だった。