海から吹きこんでくる潮風が頬に痛い。

12月20日――宗助の父親、直江良助の命日だった。

宗助はY区の港に現れた。

まるで別世界だなと宗助は思った。

クリスマス一色だった街中とは違い、周りがコンテナで囲まれているここはクリスマスの雰囲気がなかった。

ライブ会場から直接ここへきたと言うこともあり、髪は汗で濡れていた。

「――約束は守るんだな」

その声に視線を向けると、真木雅弘がいた。

宗助はコートのポケットの中に入っているそれを握りしめると、
「言ったのは僕だ。

君の方こそ、約束を守るんだな」

真木に言い返した。