ミュージシャンになっても、絶対に成功するとは限らない。

成功したとしても、本当にわずかである。

武藤もデビューを目指して芸能事務所にデモテープを送り続けていたり、事務所が主催するオーディションに参加しているものの、うまくいかないと嘆いていた。

ミュージシャン以外で、だけど音楽の仕事に関わることができる職業はないかと宗助は調べた。

その結果、
「――これだ…!」

マネージャーと言う仕事を見つけた。

この仕事ならば音楽に携わっているうえに、間近で彼らの仕事を勉強することができると宗助は思った。


大学2年生の夏だった。

「久しぶりじゃん!」

聞き覚えのあるその声に視線を向けると、
「兄貴!」

浮橋だった。