「えっ、君もミュージシャンを目指しているの?」

食堂で武藤と一緒に昼ご飯を食べながら、宗助は言った。

「ミュージシャンになって世界を飛び回るって決めているんだ」

ドラムとヴォーカルを担当している武藤の実力は、驚くほどだった。

初めてその実力を見た時、プロなのかと思ってしまったほどだ。

「この間も大手事務所にデモテープを送ったばっかなんだ。

今度は力作だよ。

もしかしたら、デビューが決まるかも」

笑いながら言った武藤に、宗助は箸を手に持ったまま絶句することしかできなかった。

上には上がいるんだと、心の底から宗助は思った。