自宅から走って向かった先は、芸能事務所「スタンドバイミー」だった。

エレベーターに飛び乗り、最上階にある社長室に向かう。

「ソウちゃん!」

叫ぶように宗助の名前を呼んだのと同時に、夏々子は飛び込むように社長室に入った。

社長室にはすでにソファーに腰を下ろしている瑛太と桑田の姿があった。

だけど、そこに宗助の姿はいない。

「…ソウちゃんは?」

そう聞いた夏々子に、
「お茶の用意をしてる」

瑛太が答えた。

夏々子はホッと胸をなで下ろした。

「座ろ?」

瑛太に促され、夏々子はソファーに腰を下ろした。