浮橋は息を吐くと、
「宗助を養護施設へ預けた数年後に、彼は仲間たちに殺された。

宗助がその事実を知ったのは、あいつが27歳になった時だった」
と、言った。

そのとたん、空気が張りつめたものに変わった。

「27歳って…」

呟くように言った本山に、
「宗助があんたたちのマネージャーをして、ある女子大生と結婚の約束をしていた年齢だよ」

浮橋が答えた。

「さっきも言ったと思うけど、宗助が音楽の道に進んだのは実の父親を見つけるためだった。

小学生で詩を書いて、中学高校でバンドの基礎を学んで、大学の進学を期に施設を卒業して上京した。

大学時代はサークルでバンド活動をしながら勉学に励んだ。

その時俺はあいつよりも先に施設を卒業して、すでに情報屋の仕事をしていた。

確か…宗助が20歳の時に再会したんだっけな。

俺が情報屋をしていることを言ったら、宗助は“父親を探して欲しい”って俺に頼んできたんだ」

浮橋が話し始めた。