「S町の4丁目の15番地…。

確かに、住所はこの辺りよね」

夏々子はメールの内容を確認すると、周りを見回した。

ここにコンテナ風の建物がある以外、特に何も見当たらなかった。

家もなければ店もない、それどころかコンビニ1つもない。

「と言うか、こんな寂れた風景があるとは思ってもみなかったな…」

桑田がそう言った時、
「いつまでそうしているつもりだ?」

声が聞こえた。

「えっ、何?」

夏々子が首を動かして声の主を探していたら、
「こっちだ」

コンテナから顔を出したのは、徳重だった。

「徳重さん!」

そう言った桑田に、
「とりあえず、見つからないうちに中へ入れ」

徳重が手招きをした。