「ああ、えっと…すぐ戻ります」

「そうか、遅くならないうちに早く戻れよ」

電話が切られたのと同時に、瑛太はすぐにタクシー乗り場へと走り出した。

そこに駐車していたタクシーに飛び乗ると、
「すみません、『カシオペアホテル』まで」

「はい、『カシオペアホテル』ね」

タクシーが走り出した。

(一体何だったんだろう…?)

瑛太は深く息を吐くと、シートにもたれかかった。

自分はいつから、何者かに後をつけられていたのだろうか?

気のせいだと信じたかった。

疲れているからだと思いたかった。

しかし、何か起こるんじゃないかと瑛太は胸騒ぎを感じていた。